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話題沸騰中の宮崎駿監督の最新作「風立ちぬ」を見てきました。
月並みではございますが、感想をブログにしたいと思います。
まず目につくのは、圧倒的な映像の美しさです。
青い空や緑の田んぼなどの自然はもちろん、機械の質感など、 これぞジブリ!といわんばかりの、映像美でした。
本作の主人公では零戦設計主任の堀越二郎氏。ジブリ初の実在の人物が主人公です。
二郎のキャラクターはとても薄情でマイペース。「天才」という言葉がふさわしいような人物です。
常に自分のやりたいことを優先し、ある意味では奥さんを大事にしていないように受け取れる描写もあります。妹にも「にいにいは薄情!」と指摘されます。しかし、それは愛していないということではなく、二郎が人とは違う価値観、考え方をしているということです。それが普通の考え方をする一般人である私たちの目には奇特に見えるということでしょう。
自分勝手でわがままで、それでも人々を魅了し続ける天才といえばスティーブジョブズや海原雄山が思い浮かびます。天才は全てを犠牲にすることで創造を追求し、芸術へと昇華し、そして人々の生活にイノベーティブを起こすのではないでしょうか。
また、二郎は飛行機の技術が戦争で殺人の道具に使われることを知りつつも、「飛行機が作れればそれでいい」と、自分の欲望に非常に正直です。誰にも遠慮せず、一切の妥協をしないこと、それが天才的創造に必要なことなのかもしれません。
二郎と奥さんの菜穂子が出会ったばかりの頃の交流を育むシーンとして、「二郎が庭から紙飛行機を投げて、菜穂子がキャッチする」というシーンがあります。
予告編にも出てくるシーンですね。
個人的にはこのシーンが非常に印象的でした。
その間二人の間に会話はありません。
無声映画のように、ジェスチャーだけでやりとりが交わされます。
終盤で二郎が調子にのって再度飛行機を投げ→菜穂子がキャッチ→今度は菜穂子の帽子が庭に落ち→それを二郎が拾おうとして→茂みにドーン!という、昔のアニメ的表現が爆発します。
BGMも昔のアニメ的でした。
("昔のアニメ的"というよりも、”カートゥーン的”の方が適切かもしれません)
この映画では激しい戦闘シーンが描かれるわけではありません。
戦争の悲惨さや人間の罪深さを考えるような戦争映画ではありません。
また、飛行機の制作に失敗するシーンがありますが、その後エンジニアとして飛行機制作に苦労するシーンは特別描かれていません。
プロジェクトXばりにエンジニアが苦悩して技術革新を起こすまでを追跡する技術映画ではありません。
堀越二郎がどのように考え、生きたか、を宮崎駿監督の視点で描いています。
既に賛否が分かれているとおり、分かりにくい点もあるため、退屈な印象をもたれることも確かです。
飛行機が出てくる映画ですので、アクロバティックなアクションシーンを追加することで、スカっとする娯楽作に仕上げることも出来たはずです。が、宮崎監督はあえてそうしませんでした。
それは何故か。
それが分かれば見ててスカっとするはずなんです(笑)
分からないからもやもやするんでしょうね。
あと二、三回は劇場に足を運ばないとこの映画の本質を完璧に理解することは出来なさそうです。


話題沸騰中の宮崎駿監督の最新作「風立ちぬ」を見てきました。
月並みではございますが、感想をブログにしたいと思います。
映像が美しい
まず目につくのは、圧倒的な映像の美しさです。
青い空や緑の田んぼなどの自然はもちろん、機械の質感など、 これぞジブリ!といわんばかりの、映像美でした。
二郎の印象は薄情者?
本作の主人公では零戦設計主任の堀越二郎氏。ジブリ初の実在の人物が主人公です。
二郎のキャラクターはとても薄情でマイペース。「天才」という言葉がふさわしいような人物です。
常に自分のやりたいことを優先し、ある意味では奥さんを大事にしていないように受け取れる描写もあります。妹にも「にいにいは薄情!」と指摘されます。しかし、それは愛していないということではなく、二郎が人とは違う価値観、考え方をしているということです。それが普通の考え方をする一般人である私たちの目には奇特に見えるということでしょう。
天才はいつだって自分勝手
自分勝手でわがままで、それでも人々を魅了し続ける天才といえばスティーブジョブズや海原雄山が思い浮かびます。天才は全てを犠牲にすることで創造を追求し、芸術へと昇華し、そして人々の生活にイノベーティブを起こすのではないでしょうか。
また、二郎は飛行機の技術が戦争で殺人の道具に使われることを知りつつも、「飛行機が作れればそれでいい」と、自分の欲望に非常に正直です。誰にも遠慮せず、一切の妥協をしないこと、それが天才的創造に必要なことなのかもしれません。
ふたりの恋に言葉はいらない
二郎と奥さんの菜穂子が出会ったばかりの頃の交流を育むシーンとして、「二郎が庭から紙飛行機を投げて、菜穂子がキャッチする」というシーンがあります。
予告編にも出てくるシーンですね。
個人的にはこのシーンが非常に印象的でした。
その間二人の間に会話はありません。
無声映画のように、ジェスチャーだけでやりとりが交わされます。
終盤で二郎が調子にのって再度飛行機を投げ→菜穂子がキャッチ→今度は菜穂子の帽子が庭に落ち→それを二郎が拾おうとして→茂みにドーン!という、昔のアニメ的表現が爆発します。
BGMも昔のアニメ的でした。
("昔のアニメ的"というよりも、”カートゥーン的”の方が適切かもしれません)
「風立ちぬ」は人間映画
この映画では激しい戦闘シーンが描かれるわけではありません。
戦争の悲惨さや人間の罪深さを考えるような戦争映画ではありません。
また、飛行機の制作に失敗するシーンがありますが、その後エンジニアとして飛行機制作に苦労するシーンは特別描かれていません。
プロジェクトXばりにエンジニアが苦悩して技術革新を起こすまでを追跡する技術映画ではありません。
堀越二郎がどのように考え、生きたか、を宮崎駿監督の視点で描いています。
既に賛否が分かれているとおり、分かりにくい点もあるため、退屈な印象をもたれることも確かです。
飛行機が出てくる映画ですので、アクロバティックなアクションシーンを追加することで、スカっとする娯楽作に仕上げることも出来たはずです。が、宮崎監督はあえてそうしませんでした。
それは何故か。
それが分かれば見ててスカっとするはずなんです(笑)
分からないからもやもやするんでしょうね。
あと二、三回は劇場に足を運ばないとこの映画の本質を完璧に理解することは出来なさそうです。
